My Lover
エレベーターを降りて目の前にあるドアの鍵を開ける。
「うわ…広っ…。」
部屋に入った瞬間、綾が言った。
その言葉を軽く聞き流して近くの椅子に座って質問する。
「―――で、話ってなに?」
「……あのね、あたし―――」
ゴクッと唾を飲み込んで、綾は言葉を続けた。
「家、ないの。」
「は!?」
突然の綾の言葉に思わず声を荒げた。
だって家がないって……。
「あたしね、二年前ぐらいに親が嫌で家出したの。最初は友達の家に泊まらせてもらってたんだけど…」
「ちょっ…待って!整理させてくんない?」
なんだよ家出って。いきなりかよ。
え、何?じゃあコイツ住むとこないわけ?今どこに住んでんの?つか、生活出来てんの?それに、なんでそのこと俺に話す?
住まわせろ、ってこと?
「つまり…ここに住まわせろ、ってこと言いたいわけ?」
少しの沈黙のあと、綾は答えた。
「そうゆうことじゃなくて。――助けてほしいの。」