My Lover





エレベーターを降りて目の前にあるドアの鍵を開ける。



「うわ…広っ…。」



部屋に入った瞬間、綾が言った。
その言葉を軽く聞き流して近くの椅子に座って質問する。



「―――で、話ってなに?」


「……あのね、あたし―――」



ゴクッと唾を飲み込んで、綾は言葉を続けた。



「家、ないの。」


「は!?」



突然の綾の言葉に思わず声を荒げた。
だって家がないって……。



「あたしね、二年前ぐらいに親が嫌で家出したの。最初は友達の家に泊まらせてもらってたんだけど…」


「ちょっ…待って!整理させてくんない?」



なんだよ家出って。いきなりかよ。
え、何?じゃあコイツ住むとこないわけ?今どこに住んでんの?つか、生活出来てんの?それに、なんでそのこと俺に話す?
住まわせろ、ってこと?



「つまり…ここに住まわせろ、ってこと言いたいわけ?」



少しの沈黙のあと、綾は答えた。



「そうゆうことじゃなくて。――助けてほしいの。」








< 11 / 15 >

この作品をシェア

pagetop