My Lover
夕陽で赤く色づいた廊下を見渡すと和樹の姿はなかった。
しょーがねぇな。一人で帰るか。
誰もいない廊下は、足音がよく響いた。
いつもは、がやがやとうるさいのに誰もいないと逆に不気味だ。
校舎を出ると11月の北風が顔にあたって来る。
寒さに耐えながらグラウンドを通り、裏門に向かってると微かに男女の声がした。
「―――約束が違ぇーだろ!?」
「あたし、ちゃんと言ったよ!?聞いてないのが悪いんじゃない!」
なんの話かもわからないけど、どうやら二人は校門のとこで話してるらしい。
「うっせーな!!!年下のくせに生意気。その口、黙らしてやる。」
「え!?ちょ……やぁ―――」
この会話が聞こえたときに丁度、門を出たとこだった。
反射的に口が動く。