My Lover
男が見えなくなってから、女の子に声をかけた。
女の子は栗色の髪の毛を巻いて、メイクがひどく崩れている。
『大丈夫―――なわけないか。』
「…たす、けてくれて…ありがと…。」
聞こえるか聞こえないかわからないくらいの涙にまみれた声。
『どういたしまして。何もされてない?……立てる?』
女の子は首を横に振る。
じゃあ――おんぶ…かな。
女の子に背中を向けてしゃがむ。
『…ん。』
「…っえ?」
『乗って。』
「あ…あたし、しばらくここにいれば治るから、気にしないで!」
そう言う女の子を無視して背中に乗せた。
最初は抵抗してたものの、あきらめておとなしくなった。