My Lover





「それ、俺がバカって言いたいの?」


「そういう訳じゃないけど、何も考えずに行動したのかなって思っただけ。…誤解させるようなこと言ってごめんね?」



見えないけど、後ろで手を顔の前で合わせて謝ってる気がする。

別にいっか。

辺りを見渡すと、まだ五時だというのにすでに日は落ちていて家の明かりが暗闇を照らしていた。



「晴…あたし、もう歩けるよ?自分で歩くから降ろして。」


「うん」と返事をして、その場で静かにしゃがみ身体を支えていた手をどけると、綾はよろめきながら降りた。



「あはは。ずっと晴に乗ってたから足がまだ慣れてないや。ちょっと手貸して。」



喋るのが面倒だったから何も言わずに手を差し出す。
その手に綾の手が重なった。



「…しばらくすれば大丈夫だから。今だけこのままでいさせて?」



周りから見ると、俺らカレカノみたいに見られるよな…。でもなんか断れねー雰囲気じゃん。

…はぁ…もうどーでもいいや。
家も近いし。








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