My Lover
手ちっちぇ…。
力入れたら、握り潰しちゃうんじゃないかと思う。
「ちいせーな。」
「手……?」
「うん。」
「コンプレックス。指が足らなくてピアノだって弾けないの。それに―――」
「待って。」
隣にいる綾の口をもう一つの手で押さえる。そして物陰に身をひそめた。
「何?」
「クラスのヤツがいる。」
手繋いで歩いてるところ見られたら明日何されるかわからない。
そのことを察したように綾はただ静かに隠れていた。
「―――あはは!先輩その娘どうしたんすか?」
「いやそれがよ、お前んとこの皆川晴が邪魔してきて契約出来なかったんだよ。」
「じゃ…明日晴をシメておきます。」
「おう。頼むな。嶺。」
「はい―――」