あなた
一生2人で来ることのない場所。
よく歩いた並木道。
出会ったあの公園のベンチ。
そして、何回も撮ったプリクラ。
全部行った。もう残すことなんてない。
もう終わるんだ・・・。




「いっぱい行ったね。次どこ行く?」
和也は幸せそうな笑顔で聞いてきた。
それがあたしには悲しくて辛くて胸が痛んだ。
「んーーと・・・
和也ん家がいい!」
一番の思い出はやっぱり和也の家だった。
和也の過去の話も、色々将来を語り合ったことも、
指輪をくれたことも、結婚しよう。って誓ったことも。
全部、和也の家だった。
結婚しようって・・・誓ったのにね。
約束破ってごめんね・・・。
こんなあたしで・・・ごめんね・・・。




そうしてあたしたちは家についてまた部屋に入った。
この部屋はやっぱり好きだ。
和也のにおいも窓から見えるキレイな空も
心地よいベッドも、温かくて気持ちいいフワフワのカーペットも・・・。
全部好き。大好き。
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