あなた

あたしは泣きながら走った。
そして、和也の家の前まで来てしまった。
ドキドキとこわさが全部つまってる心のまま、
インターホンをならした。
「はい・・・。」
低い声で和也が出てきた。
その和也の姿にびっくりした。
弱そうな細い身体、ボサボサの髪、無心の表情、
涙のあと・・・。
見たことのない和也だったから、
驚きが隠せない。
「なんで来たの？」
冷めた目で言ってきた。
「全部・・・聞いたよ？
あたしのなんかのために・・・
どうしてそこまで・・・泣いてくれたの？
汚れた女のために・・・
あたしといても幸せなんかっ」
そう言ったとき、弱そうな身体で和也は抱きしめた。



「そんなこと言うなって言っただろ！！
俺に・・・何も言ってくれなかったのが・・・
悔しかった・・・。1人でいつも抱え込んでるから・・・
守りたいって思うんだから・・・。
俺に迷惑かけたくないって・・・
思ってるんだろ？そんなのすぐわかるから・・・。」
「どうして・・・わかるの？」
あたしは気になった。
なんでわかるのか・・・。




「ずっと一緒にいてたんだぞ？
そんなの・・・わかるに決まってるだろ？」
「あの・・・ね・・・さっき・・・
将くんに会ったの・・・」
そう言ったとき、急に離されて
「なんで？」
と真剣に聞いてきた。