グレスト王国物語
(またかよ!)

また面倒ごとは自分持ちかと、シルヴァは憤りを隠しもせずに盛大な舌打ちをした。

窓枠には、ブラッドの変わりに一羽の鴉(からす)が止まっていた。

近くで見ると、それは想像以上に大きい。紫の瞳。

鳥類独特の何となく冷たい瞳が、じっとこちらを見つめていた。

(何よ……)

横目に鴉を気にしながらも、ノロノロと、ベッドから起き上がる。

午後の気だるいような安らぎの時間が、部屋に満ちていた。

(しょうがない…)

仕事だからとシルヴァが自分に言い聞かせた。その時。

グワッシャァァァ…ン!!!!!

下の階から、家が揺れるような騒音が鳴り響いた。
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