グレスト王国物語
そこには先ほど外に放り出しされた青年が、立っている。
青年はシルヴァを見て目を丸くして、その後微笑んだ。
「あの……」
「しーっ!」
いたずらっぽく唇に人差し指を当てると、青年はシルヴァの声を制した。
「今、彼女[記し]の時間なんだ。静かにしてれば、見つからないから…静かに、ね?」
「あなた…何しに来たんですか。まさかとは思いますが…泥棒…とか?」
青年は、また目を丸くして、それからまた破顔した。
なつっこい笑顔は、とても何かしでかしそうには見えなかった。
「はは…まさか!いやほら、彼女忙しいから、片付けあげようかと思って、さ。」
恐らく先ほどの騒ぎで彼女がここまで滅茶苦茶にしてしまったのであろう、この部屋を眺め回して、彼は恥ずかしそうに頭をかいた。
「いつもああやって怒るんだよなぁ…。」
そう言って、そろそろと床に散らばった本を集めては、並べ。を彼は始めた。
「イヴァさんの恋人なんですか?」
「いや、」
「じゃあ兄弟とか。」
「ううん。」
「ふぅん……」
階段に座って、眺める。
彼は一冊一冊をとても大切なもののように丁寧に積んで行く。ある程度溜まったら、本棚に並べて行く。
その作業はとても手慣れていた。
「ここにあるのは、彼女が[記し]たグレストの歴史。僕は、ただ本が好きで、読みに通ってるだけだよ。」
愛おしそうに、本を撫でる。あ。本ではない。彼は、イヴァさんが好きなのだと、シルヴァ何となく感じた。
「私、シルヴァと言います。」
「シルヴァちゃんか。僕はリヴェル。彼女が人を家に入れるなんて、本当に珍しいことだよ。しばらくはここに居るのかな?」
「はぁ…多分。」
「[女神の涙]を貰うまで、かい?」
「……え!?」
どうしてそれを。
差し出されたのは、くすんだ赤い表紙の本。ハードカバー。
「読めば分かるさ。大体は、ね。」
受け取る。
いつの間にか、あの鴉はいなくなっていた。
青年はシルヴァを見て目を丸くして、その後微笑んだ。
「あの……」
「しーっ!」
いたずらっぽく唇に人差し指を当てると、青年はシルヴァの声を制した。
「今、彼女[記し]の時間なんだ。静かにしてれば、見つからないから…静かに、ね?」
「あなた…何しに来たんですか。まさかとは思いますが…泥棒…とか?」
青年は、また目を丸くして、それからまた破顔した。
なつっこい笑顔は、とても何かしでかしそうには見えなかった。
「はは…まさか!いやほら、彼女忙しいから、片付けあげようかと思って、さ。」
恐らく先ほどの騒ぎで彼女がここまで滅茶苦茶にしてしまったのであろう、この部屋を眺め回して、彼は恥ずかしそうに頭をかいた。
「いつもああやって怒るんだよなぁ…。」
そう言って、そろそろと床に散らばった本を集めては、並べ。を彼は始めた。
「イヴァさんの恋人なんですか?」
「いや、」
「じゃあ兄弟とか。」
「ううん。」
「ふぅん……」
階段に座って、眺める。
彼は一冊一冊をとても大切なもののように丁寧に積んで行く。ある程度溜まったら、本棚に並べて行く。
その作業はとても手慣れていた。
「ここにあるのは、彼女が[記し]たグレストの歴史。僕は、ただ本が好きで、読みに通ってるだけだよ。」
愛おしそうに、本を撫でる。あ。本ではない。彼は、イヴァさんが好きなのだと、シルヴァ何となく感じた。
「私、シルヴァと言います。」
「シルヴァちゃんか。僕はリヴェル。彼女が人を家に入れるなんて、本当に珍しいことだよ。しばらくはここに居るのかな?」
「はぁ…多分。」
「[女神の涙]を貰うまで、かい?」
「……え!?」
どうしてそれを。
差し出されたのは、くすんだ赤い表紙の本。ハードカバー。
「読めば分かるさ。大体は、ね。」
受け取る。
いつの間にか、あの鴉はいなくなっていた。