グレスト王国物語
***
「グレストの伝説なんて…始めて読みました。」
「そうだと思ったよ。最近の子は知らないもんね。こういうの。」
リヴェルは鼻にかかった眼鏡を、くいと持ち上げるとまた笑った。
「最近物騒だし災害も酷いだろ?もしかしたらそろそろ、伝説に従って誰かが動き出してるんじゃないかなぁ…なんて思ってたんだ。」
そこでちょうど本の片付けを終えると、彼は椅子を引いて静かに腰を下ろした。
ぱた、ぱた、
あの鴉がどこからか帰ってきた。リヴェルには懐いているようで、彼のそばに降り立って羽を休め始める。
「その子…」
「いつもいるんだ。彼女が飼ってるのかな。」
「へぇ……あ、」
「?どうしたの、」
「いや、あの、」
指差す。彼の後ろに、いたのだ。
「何してる。…貴様ら。」
「い、イヴァ!!いや、あの…」
「出ていけと言ったろう!!!!」
何もそこまでと言う形相でイヴァは叫び、リヴェルが座っている椅子ごと彼を蹴り飛ばした。
そのまま、彼は壁にぶつかる。
先ほど彼が時間をかけて片付けた本が、ばさばさと寂しい音を立てて床に散らばった。
「…出ていけ、」
「イヴァ、」
「出ていけぇ!!!」
叫び。
痛いほどの静寂の中でゆっくりと立ち上がると、リヴェルは静かに立ち去った。
部屋に2人残ったシルヴァとイヴァの間には、何とも居づらい空気が満ちていた。
「どうして…」
「あぁ?」
「どうしてそこまであの人を嫌うんです。女神なら…」
「女神なら、なんだ。女神なら人間が好きで当然か?残念だったな。私は人間だ。」
「え、」
「智の女神は代々人間が務めると決まっている。」
「はぁ…」
「私は、男を好かん。」
「でも、リヴェルさんが…」
「五月蝿いぞ、娘。そんなに追い出されたいのか。」
鋭利に吐かれる言葉。
シルヴァには、なぜだか彼女が強がっているように見えた。
「グレストの伝説なんて…始めて読みました。」
「そうだと思ったよ。最近の子は知らないもんね。こういうの。」
リヴェルは鼻にかかった眼鏡を、くいと持ち上げるとまた笑った。
「最近物騒だし災害も酷いだろ?もしかしたらそろそろ、伝説に従って誰かが動き出してるんじゃないかなぁ…なんて思ってたんだ。」
そこでちょうど本の片付けを終えると、彼は椅子を引いて静かに腰を下ろした。
ぱた、ぱた、
あの鴉がどこからか帰ってきた。リヴェルには懐いているようで、彼のそばに降り立って羽を休め始める。
「その子…」
「いつもいるんだ。彼女が飼ってるのかな。」
「へぇ……あ、」
「?どうしたの、」
「いや、あの、」
指差す。彼の後ろに、いたのだ。
「何してる。…貴様ら。」
「い、イヴァ!!いや、あの…」
「出ていけと言ったろう!!!!」
何もそこまでと言う形相でイヴァは叫び、リヴェルが座っている椅子ごと彼を蹴り飛ばした。
そのまま、彼は壁にぶつかる。
先ほど彼が時間をかけて片付けた本が、ばさばさと寂しい音を立てて床に散らばった。
「…出ていけ、」
「イヴァ、」
「出ていけぇ!!!」
叫び。
痛いほどの静寂の中でゆっくりと立ち上がると、リヴェルは静かに立ち去った。
部屋に2人残ったシルヴァとイヴァの間には、何とも居づらい空気が満ちていた。
「どうして…」
「あぁ?」
「どうしてそこまであの人を嫌うんです。女神なら…」
「女神なら、なんだ。女神なら人間が好きで当然か?残念だったな。私は人間だ。」
「え、」
「智の女神は代々人間が務めると決まっている。」
「はぁ…」
「私は、男を好かん。」
「でも、リヴェルさんが…」
「五月蝿いぞ、娘。そんなに追い出されたいのか。」
鋭利に吐かれる言葉。
シルヴァには、なぜだか彼女が強がっているように見えた。