グレスト王国物語
「そうだ!そんなに急ぐんなら、次の涙から先に貰っちゃえば良いんですよ。」

「涙には受け取る順番がある。それはできない。」

「じゃあ…」

「俺は、準備ができしだいアタキアナに潜入して、鎮火する。

お前はここに残って、イヴァが結界を張る手伝いでもしながら、グレスティアの伝説でも頭に入れておけ。」

「そんなぁ。」

「返事は。」

「…はい。」

面白くない!

何でこの人はいつもいつもこんなに横暴なんだろう。

ふてくされて、布団を頭まで引き上げると、包まった。

戦争だの伝説だの。

日常の中で暮らしていた私には、限りなく遠い世界の言葉のように感じる。

だが、その日は妙に胸騒ぎがしてなかなか寝付くことができなかった。
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