グレスト王国物語
***
布団を被って、果たして何時間経ったのだろう。
布団のなかは私の体温ですっかりサウナと化し、かなり息苦しくなってくる。
…なんか、馬鹿みたいだ。私。
何となくそう感じてしまって、
ブラッドが寝静まった気配を確認すると、私はそっと布団から顔を出した。
そして、
信じられないものを、見た。
「月が…。」
重なった雲の向こうから現れた青紫の闇。
その闇が僅かに裂けているようにも見えたが、それは確かに月だった。
鋭い金具で引っ掻いたように細々とした、血のように赤い月が、出ていた。
布団を被って、果たして何時間経ったのだろう。
布団のなかは私の体温ですっかりサウナと化し、かなり息苦しくなってくる。
…なんか、馬鹿みたいだ。私。
何となくそう感じてしまって、
ブラッドが寝静まった気配を確認すると、私はそっと布団から顔を出した。
そして、
信じられないものを、見た。
「月が…。」
重なった雲の向こうから現れた青紫の闇。
その闇が僅かに裂けているようにも見えたが、それは確かに月だった。
鋭い金具で引っ掻いたように細々とした、血のように赤い月が、出ていた。