グレスト王国物語
***
「女でも子供でも構わん!
そもそもガーディアナにはほとんど女しかいないんだ!
そんなことは最初から分かり切っているだろうが!
つべこべ言わずに戦える者は皆集めろ、私が指揮を取る!」
小さなリビングでグレスト創世記を読んでいたシルヴァは、奥の書斎から聞こえて来た怒鳴り声に顔を上げた。
電話だろうか。
イヴァはいつになく機嫌が悪いようだった。
くわばらくわばら…
しばらくは関わらないようにしようと心に決めて、私は(大して頭に入っては来ないのだが…)辞書のように分厚い創世記を見つめていた。
しばらくすると、嵐のような騒ぎは収まったようで、心なしかうなだれたようなイヴァが書斎から出てきた。
力なく私の向かい側の椅子に座りこむと、見計らったようにキッチンでポットのお湯が沸いて、可愛らしく笛の音を鳴らした。
紅茶でも入れるつもりだろうか。
勝手にお湯が沸いたのは、彼女の魔法が成せる技だ。
こんなふとした時に、何となく彼女は私とは違うと言うことを感じてしまう。
「…おい。」
声をかけられて、私は半ば張りつくように眺めていた創世記から顔を上げた。
「何でしょう。」
「…少し、話したいことがある。」
こちらへ来いと、小さく手招きされて、私はイヴァと向かい合う形でテーブルに着いた。
以前、この上を埋め尽くしていた本達は、だいぶ片付けられたようだった。
話は、唐突に始まった。
「今日…あと数時間後にこの街は空襲を受ける。
お前はこの街を出て、北の港町プロヌへ向かえ。
そこから、できるだけ急いで竜の島ガガナへ渡るんだ。そこに…」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」
「女でも子供でも構わん!
そもそもガーディアナにはほとんど女しかいないんだ!
そんなことは最初から分かり切っているだろうが!
つべこべ言わずに戦える者は皆集めろ、私が指揮を取る!」
小さなリビングでグレスト創世記を読んでいたシルヴァは、奥の書斎から聞こえて来た怒鳴り声に顔を上げた。
電話だろうか。
イヴァはいつになく機嫌が悪いようだった。
くわばらくわばら…
しばらくは関わらないようにしようと心に決めて、私は(大して頭に入っては来ないのだが…)辞書のように分厚い創世記を見つめていた。
しばらくすると、嵐のような騒ぎは収まったようで、心なしかうなだれたようなイヴァが書斎から出てきた。
力なく私の向かい側の椅子に座りこむと、見計らったようにキッチンでポットのお湯が沸いて、可愛らしく笛の音を鳴らした。
紅茶でも入れるつもりだろうか。
勝手にお湯が沸いたのは、彼女の魔法が成せる技だ。
こんなふとした時に、何となく彼女は私とは違うと言うことを感じてしまう。
「…おい。」
声をかけられて、私は半ば張りつくように眺めていた創世記から顔を上げた。
「何でしょう。」
「…少し、話したいことがある。」
こちらへ来いと、小さく手招きされて、私はイヴァと向かい合う形でテーブルに着いた。
以前、この上を埋め尽くしていた本達は、だいぶ片付けられたようだった。
話は、唐突に始まった。
「今日…あと数時間後にこの街は空襲を受ける。
お前はこの街を出て、北の港町プロヌへ向かえ。
そこから、できるだけ急いで竜の島ガガナへ渡るんだ。そこに…」
「ちょ、ちょっと待って下さい!」