グレスト王国物語
「フレイア様!」
2人で身をよせあって、どのくらいそうしていただろう。
風が吹いたかと思うと、細身の青いドラゴンが頭上から輪を描いて降りて来た。
「おお、ナグラ。生きておったか。」
「フレイア様、そのお姿…」
「デダの置き土産じゃ。火の女神の引き継ぎ儀式が妨害されての。
おかげで竜にも人にも戻れなくなってしもうたわ。」
どうやら、ガガナに住む竜族は、その姿を竜から人へ自在に変えることができるらしい。
フレイアの言葉を聞いた青いドラゴン、ナグラはたちまち人間の青年へと姿を変えた。
「そうでございましたか…
フレイア様、ガガナは壊滅です。
あるいはプロヌは無事かと思い、海を渡りここまで来てみたのですが…」
「わらわもじゃ。まさかここまでデダの竜巻に呑まれていようとはな…」
そこで、静かに言葉を切ると、二人は目を細めて遥か彼方まで広がる水平線へと目をやった。
「世界が…泣いている……。貴女もお気づきでしょう、「涙の使者」シルヴァ様。」
青年とも娘ともつかない、端正で中性的な顔立ちの人間に姿を変えた青いドラゴンは、深い藍色を湛えた瞳を私に向けた。
世界が泣いている…?
否。
泣いているのは私の心だ。
2人で身をよせあって、どのくらいそうしていただろう。
風が吹いたかと思うと、細身の青いドラゴンが頭上から輪を描いて降りて来た。
「おお、ナグラ。生きておったか。」
「フレイア様、そのお姿…」
「デダの置き土産じゃ。火の女神の引き継ぎ儀式が妨害されての。
おかげで竜にも人にも戻れなくなってしもうたわ。」
どうやら、ガガナに住む竜族は、その姿を竜から人へ自在に変えることができるらしい。
フレイアの言葉を聞いた青いドラゴン、ナグラはたちまち人間の青年へと姿を変えた。
「そうでございましたか…
フレイア様、ガガナは壊滅です。
あるいはプロヌは無事かと思い、海を渡りここまで来てみたのですが…」
「わらわもじゃ。まさかここまでデダの竜巻に呑まれていようとはな…」
そこで、静かに言葉を切ると、二人は目を細めて遥か彼方まで広がる水平線へと目をやった。
「世界が…泣いている……。貴女もお気づきでしょう、「涙の使者」シルヴァ様。」
青年とも娘ともつかない、端正で中性的な顔立ちの人間に姿を変えた青いドラゴンは、深い藍色を湛えた瞳を私に向けた。
世界が泣いている…?
否。
泣いているのは私の心だ。