グレスト王国物語
***
どさりと、音を立てて。ブラッドと呼ばれていた男はいともあっさりと死んだ。
「ブラッド、死んだか?」
返事は、ない。
「ふ、ふふふ、ははは、ははははははははは!!!」
女神の涙に願えるのはただの一度きり、わざわざ誰が他人のためにそのチャンスを使うだろう?
「馬鹿だなぁ、ブラッド。はは、こんな簡単な催眠に引っ掛かって…本当に妹が生き返ると信じてたのか?」
彼は、催眠をかけた。
ブラッドと、そしてシルヴァに。
そして、計画は見事に成功した。シルヴァはグレイに成り切り、ブラッドは理性を失った。
そしてブラッドが死んだ今、ブライトに障害は何一つなくなった。
「さて、始めようか?シルヴァ。」
男は、朦朧としている娘を立たせると、5つの涙が収められている台座の前に導く。
びちゃびちゃと、娘が死んだ男の血を踏みしだく度に、湿った音が辺りに満ちる。
(─血か。)
ここまで来るのに、数多の人間の屍を踏み台にして来た。
今さら、罪悪感に苛(さいな)まれることもなかったし、ここに来て止める気もさらさらない。
その場から一歩退くと、ブライトは王家に伝わるグレスト創世記を開いた。
そう、彼は次期グレスト王の兄、すなわち王族なのである。
一般に知られているグレスト創世記とは違い、神聖文字で書かれているのだが、当然彼はそれを容易く読むことができた。
大きく息を吸う。
古(いにしえ)より伝わる
グレスト王家と
大女神グレスティアとの
契約に則り
これより
グレスティア召喚の儀を
執り行うもの也
こうして、大女神グレスティア呼び寄せの儀式が始まった。
どさりと、音を立てて。ブラッドと呼ばれていた男はいともあっさりと死んだ。
「ブラッド、死んだか?」
返事は、ない。
「ふ、ふふふ、ははは、ははははははははは!!!」
女神の涙に願えるのはただの一度きり、わざわざ誰が他人のためにそのチャンスを使うだろう?
「馬鹿だなぁ、ブラッド。はは、こんな簡単な催眠に引っ掛かって…本当に妹が生き返ると信じてたのか?」
彼は、催眠をかけた。
ブラッドと、そしてシルヴァに。
そして、計画は見事に成功した。シルヴァはグレイに成り切り、ブラッドは理性を失った。
そしてブラッドが死んだ今、ブライトに障害は何一つなくなった。
「さて、始めようか?シルヴァ。」
男は、朦朧としている娘を立たせると、5つの涙が収められている台座の前に導く。
びちゃびちゃと、娘が死んだ男の血を踏みしだく度に、湿った音が辺りに満ちる。
(─血か。)
ここまで来るのに、数多の人間の屍を踏み台にして来た。
今さら、罪悪感に苛(さいな)まれることもなかったし、ここに来て止める気もさらさらない。
その場から一歩退くと、ブライトは王家に伝わるグレスト創世記を開いた。
そう、彼は次期グレスト王の兄、すなわち王族なのである。
一般に知られているグレスト創世記とは違い、神聖文字で書かれているのだが、当然彼はそれを容易く読むことができた。
大きく息を吸う。
古(いにしえ)より伝わる
グレスト王家と
大女神グレスティアとの
契約に則り
これより
グレスティア召喚の儀を
執り行うもの也
こうして、大女神グレスティア呼び寄せの儀式が始まった。