グレスト王国物語
*呪われた少年
***
前々から、私には「跳ぶ」癖があるなあとは気が付いていたけど、今回深く深く自分の意識の中に入ってみて、初めてはっきりそうだと悟った。
私は、シルヴァ。
深くにはいるけど、そのことがはっきりと解っているから、大丈夫だと思う。
大丈夫、私は私。
他の誰でもない。
ブライトによって、意識の淵まで突き落とされて、また誰かの過去の記憶か何かに、飛んで来てしまったようだった。
真っ白な世界。
徐々に色づいて、輪郭を帯びて行く。
どこか、大きな庭のようだった。
薔薇だろうか。花々の良い香りが鼻腔を満たして幸せな気持ちにしてくれる。
私は、歩き始めた。
ここは、一体どこだろう?いっそ天国なら良いと思ったけど、父と母が迎えに来てくれないから、違うと思いたい。
綺麗に手入れされた小道を進んで行くと、道の突き当たり、白い薔薇が茂みのようになっていり場所に、誰かがしゃがみこんでいるのが目に入った。
「あの…大丈夫ですか。」
一応声をかける。
びくりと、大袈裟な程に肩を震わせて、その人はこちらを見上げた。
澄んだブラウンの瞳が印象的な、少年だった。
泣いていたのだろうか。その目の周りは真っ赤になっていた。
「どうしたの?何か悲しいことがあったの。」
そう尋ねると、少年は痛々しいくらいに泣き顔になった。
「お…お父さまが…お父様が、」
「うん。」
「ぼ、僕を…出来損ないだって。」
「…どうして?」
「僕が…僕は王族なのに、魔法が使えないから…だから、僕の弟が将来王様になるんだって…お父様が…うぅ、」
そこまで言って、少年はまた涙に暮れた。
幼い心に、親から受けたの拒絶の苦しみは、果たしてどれ程深く惨たらしいものなのだろう。
私には、想像もつかない。
「そっか…辛かったね。」
「でも、おかしいんだ。僕、弟なんていない…弟なんて知らないんだ…」
「君のお母さんには、赤ちゃんいないの?」
「うん…いないよ。」
よくわからないなと思っていると、再び世界が霧に覆われるように白くなって、またじわじわと明るくなった。
前々から、私には「跳ぶ」癖があるなあとは気が付いていたけど、今回深く深く自分の意識の中に入ってみて、初めてはっきりそうだと悟った。
私は、シルヴァ。
深くにはいるけど、そのことがはっきりと解っているから、大丈夫だと思う。
大丈夫、私は私。
他の誰でもない。
ブライトによって、意識の淵まで突き落とされて、また誰かの過去の記憶か何かに、飛んで来てしまったようだった。
真っ白な世界。
徐々に色づいて、輪郭を帯びて行く。
どこか、大きな庭のようだった。
薔薇だろうか。花々の良い香りが鼻腔を満たして幸せな気持ちにしてくれる。
私は、歩き始めた。
ここは、一体どこだろう?いっそ天国なら良いと思ったけど、父と母が迎えに来てくれないから、違うと思いたい。
綺麗に手入れされた小道を進んで行くと、道の突き当たり、白い薔薇が茂みのようになっていり場所に、誰かがしゃがみこんでいるのが目に入った。
「あの…大丈夫ですか。」
一応声をかける。
びくりと、大袈裟な程に肩を震わせて、その人はこちらを見上げた。
澄んだブラウンの瞳が印象的な、少年だった。
泣いていたのだろうか。その目の周りは真っ赤になっていた。
「どうしたの?何か悲しいことがあったの。」
そう尋ねると、少年は痛々しいくらいに泣き顔になった。
「お…お父さまが…お父様が、」
「うん。」
「ぼ、僕を…出来損ないだって。」
「…どうして?」
「僕が…僕は王族なのに、魔法が使えないから…だから、僕の弟が将来王様になるんだって…お父様が…うぅ、」
そこまで言って、少年はまた涙に暮れた。
幼い心に、親から受けたの拒絶の苦しみは、果たしてどれ程深く惨たらしいものなのだろう。
私には、想像もつかない。
「そっか…辛かったね。」
「でも、おかしいんだ。僕、弟なんていない…弟なんて知らないんだ…」
「君のお母さんには、赤ちゃんいないの?」
「うん…いないよ。」
よくわからないなと思っていると、再び世界が霧に覆われるように白くなって、またじわじわと明るくなった。