グレスト王国物語
***

汝に
請い願う
今我の願いを
聞き入れ給え!

高らかにそう言い終わる。

想像していた以上に呼び出しの呪(まじな)いは長く、終わるころにはブライトの息はすっかり上がってしまっていた。

静寂が訪れる。

失敗したのか…と、一抹の不安が男の頭を過った。

急に、5つの玉が光りだした。

その輝きは、これまで見たことがないほどまばゆく、目を開けていられないほどに膨れ上がって行く。

すると、これ以上ないほど目一杯部屋全体に広がった光は、一瞬のうちに光線のように集まると、光の筋となって、

シルヴァの躰を貫いた。

言葉もなく、シルヴァは倒れた。

そして、

そして─


…我を呼ぶのは、誰か。

その声はシルヴァのものではなくなり、その躰はふわりと宙に浮かび上がった。

5つの女神の涙の力を以て、大女神グレスティアが、ついに召喚された。
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