グレスト王国物語
*再会
***
暗闇の中で、目が覚めた。
暗闇の中で、目を開けた。
暗闇の中で、体を起こし。
暗闇の中で、立ちすくんだ。
見渡す限りの、漆黒。
どこまでも広がり、どこまでも躰の奥深くに潜り込んで来る、闇。
ひとりぼっちだった。
大きな悲しみだけが、ただただ胸を埋め尽くして、自分が何者で、どこから来て、どこに行きたいのか、分からない。
悲しい。
苦しい。
寂しい。
寒くて寒くて、怖くて。闇の中にひとり蹲って膝を抱える。
「…兄さん。」
静寂の中に、鈴を鳴らしたように声が聞こえた。
「ブラッド兄さん。」
不意に、両肩に温かい手が置かれた。
「ほら、私だよ。」
柔らかくて、温かい声音。嗚呼、何度悲しみを背負えばこの罪が許されるのだろう。
それでも嬉しかった。
例え嘘でも、それでも良かった。
「…グレイ……ッ!」
柔らかい躰を、抱きしめる。
涙が止まらない。
嬉しいのか。
悲しいのか。
それとも
苦しいのか。
分からない。
「グレイ……」
「ブラッド兄さん。しっかりしてよ。」
目と、目が、合う。
銀よりは少しくすんだグレー。空を旅行く、雲の色。
暗闇の中で、目が覚めた。
暗闇の中で、目を開けた。
暗闇の中で、体を起こし。
暗闇の中で、立ちすくんだ。
見渡す限りの、漆黒。
どこまでも広がり、どこまでも躰の奥深くに潜り込んで来る、闇。
ひとりぼっちだった。
大きな悲しみだけが、ただただ胸を埋め尽くして、自分が何者で、どこから来て、どこに行きたいのか、分からない。
悲しい。
苦しい。
寂しい。
寒くて寒くて、怖くて。闇の中にひとり蹲って膝を抱える。
「…兄さん。」
静寂の中に、鈴を鳴らしたように声が聞こえた。
「ブラッド兄さん。」
不意に、両肩に温かい手が置かれた。
「ほら、私だよ。」
柔らかくて、温かい声音。嗚呼、何度悲しみを背負えばこの罪が許されるのだろう。
それでも嬉しかった。
例え嘘でも、それでも良かった。
「…グレイ……ッ!」
柔らかい躰を、抱きしめる。
涙が止まらない。
嬉しいのか。
悲しいのか。
それとも
苦しいのか。
分からない。
「グレイ……」
「ブラッド兄さん。しっかりしてよ。」
目と、目が、合う。
銀よりは少しくすんだグレー。空を旅行く、雲の色。