グレスト王国物語
*****
調査活動。
王との面会。
つまりはあれだ。
えーと…事情聴取!
うん、そうだ。
当然のことじゃない。
私は、警察なんだから。
改めてそう確認して、私は高くそびえるローラ城を見上げた。
想像していたのよりさほど大きくはないが、石を高く積み上げて作られた堅牢なそれは、
陰鬱な曇り空の色に相まって、城と言うよりも、それ全体が巨大な牢のような印象を受ける。
寒さで、すっかり言うことをきかなくなった体はガタガタと震える。
夜が近づく時間帯。
吐く息は、一瞬で凍りつく。
歩みを進めると、厳しく城の入り口を守る門番が、不審そうに私を見た。
私は、ポシェットから警察手帳を出した。
シオナの肩書きが、一体どれ程の効果を持つかは知らないけど……
「グレスト国家警察支部、シオナの者です。国王と面会させて下さい。」
国家警察を強調してみたけど、やはりだめそうだ。
屈強だが頭が悪そうな兵士2人は顔を見合わせて、さっぱり訳が分からないと言った様子。
「国王との面会許可は申請したのか?」
…していない。
兵士は、わざとらしく肩をすくめた。
「なら、だめだな。シオナだかなんだか知らねぇが…。」
2人は、また顔を見合わせて下劣に笑った。
「国家警察なんですよ!」
「いいから帰んな、お嬢ちゃん。」
(あぁ、私って……)
本当に役立たずだ。
ブラッドが何一つ教えてくれないとはいえ、私1人では本当に何もできない。
情けない。
穴があったら入りたいとはこの事だ。
「ほら、とっとと行きな…」
兵士がニヤニヤと私を急き立てた…その時である。
「国王陛下、崩御!!」
城の中から叫び声が轟いた。
ローラ国王の死去を知らせるその声に、2人の顔は一気に青ざめた。
「陛下が、亡くなった…だと…」
「あの殺人王子が王になるのかよ!?」
「終わりじゃねえか、この国は!」
「冗談じゃねぇ、こんな国出て行くぜ、俺は!」
てんで会話にならない会話を繰り返しながら、兵士は慌てふためいて城の中へと駆けて行く。
城へ開かれた大きな扉を、開け放したまま。
私は1人、ぽつねんと取り残された。
ゆっくりと、日が、落ちた。
ドアは、開いている。
─ちょっとは仕事できますってとこ、見せてみろ。
ブラッドの声が浮かぶ。
(言われなくても……。)
「…見せてやろうじゃん。」
シルヴァは小さく呟くと、悲しげに死去を知らせる鐘が鳴り響く城の灯りに紛れ、
そして………消えた。
調査活動。
王との面会。
つまりはあれだ。
えーと…事情聴取!
うん、そうだ。
当然のことじゃない。
私は、警察なんだから。
改めてそう確認して、私は高くそびえるローラ城を見上げた。
想像していたのよりさほど大きくはないが、石を高く積み上げて作られた堅牢なそれは、
陰鬱な曇り空の色に相まって、城と言うよりも、それ全体が巨大な牢のような印象を受ける。
寒さで、すっかり言うことをきかなくなった体はガタガタと震える。
夜が近づく時間帯。
吐く息は、一瞬で凍りつく。
歩みを進めると、厳しく城の入り口を守る門番が、不審そうに私を見た。
私は、ポシェットから警察手帳を出した。
シオナの肩書きが、一体どれ程の効果を持つかは知らないけど……
「グレスト国家警察支部、シオナの者です。国王と面会させて下さい。」
国家警察を強調してみたけど、やはりだめそうだ。
屈強だが頭が悪そうな兵士2人は顔を見合わせて、さっぱり訳が分からないと言った様子。
「国王との面会許可は申請したのか?」
…していない。
兵士は、わざとらしく肩をすくめた。
「なら、だめだな。シオナだかなんだか知らねぇが…。」
2人は、また顔を見合わせて下劣に笑った。
「国家警察なんですよ!」
「いいから帰んな、お嬢ちゃん。」
(あぁ、私って……)
本当に役立たずだ。
ブラッドが何一つ教えてくれないとはいえ、私1人では本当に何もできない。
情けない。
穴があったら入りたいとはこの事だ。
「ほら、とっとと行きな…」
兵士がニヤニヤと私を急き立てた…その時である。
「国王陛下、崩御!!」
城の中から叫び声が轟いた。
ローラ国王の死去を知らせるその声に、2人の顔は一気に青ざめた。
「陛下が、亡くなった…だと…」
「あの殺人王子が王になるのかよ!?」
「終わりじゃねえか、この国は!」
「冗談じゃねぇ、こんな国出て行くぜ、俺は!」
てんで会話にならない会話を繰り返しながら、兵士は慌てふためいて城の中へと駆けて行く。
城へ開かれた大きな扉を、開け放したまま。
私は1人、ぽつねんと取り残された。
ゆっくりと、日が、落ちた。
ドアは、開いている。
─ちょっとは仕事できますってとこ、見せてみろ。
ブラッドの声が浮かぶ。
(言われなくても……。)
「…見せてやろうじゃん。」
シルヴァは小さく呟くと、悲しげに死去を知らせる鐘が鳴り響く城の灯りに紛れ、
そして………消えた。