グレスト王国物語
それは、グレスト王国だった。
昼間だと言うのに空は真っ暗になり、人々は悲鳴を上げながら逃げ惑っている。
地震の様な地響きが、絶えず鳴り響いている。
首都グレストのそば…否、グレスト王国全土の活火山が噴火している様だった。
空からは、火を帯びて真っ赤に焼けた軽石が飛来し、柔らかな皮膚しかない人間の体に容赦なく降り掛かる。
しかし相変わらず、血の雨も振り続いている。
「これは…」
「グレスティア様が、破滅の呪(まじな)いを唱えてしまったの。ほら…」
次に広がった世界は、海の上だった。
1人の女が、巨大な竜巻の中心を見上げている。
空に貼りつくように広がった渦の中心には、小さな島一つ分くらいはありそうな巨大な目玉が、ギョロギョロと忙(せわ)しなく下界を見回している。
「聞け、彷徨いし魂デダよ!今や人間は地に落ちた!共に来るが良い!」
女がそう叫ぶと、目玉は焦点を女に合わせ、喜んでいるかのようにおぞましい声で叫んだ。
金属と金属が擦れあったような、脳ミソを掻き毟られるような、そんな叫びだった。
「行くぞ。首都グレストへ!」
女は透き通るように白い肌をしている。
しかし、その長い髪は血を被ったように真っ赤に染まってしまっていた。
昼間だと言うのに空は真っ暗になり、人々は悲鳴を上げながら逃げ惑っている。
地震の様な地響きが、絶えず鳴り響いている。
首都グレストのそば…否、グレスト王国全土の活火山が噴火している様だった。
空からは、火を帯びて真っ赤に焼けた軽石が飛来し、柔らかな皮膚しかない人間の体に容赦なく降り掛かる。
しかし相変わらず、血の雨も振り続いている。
「これは…」
「グレスティア様が、破滅の呪(まじな)いを唱えてしまったの。ほら…」
次に広がった世界は、海の上だった。
1人の女が、巨大な竜巻の中心を見上げている。
空に貼りつくように広がった渦の中心には、小さな島一つ分くらいはありそうな巨大な目玉が、ギョロギョロと忙(せわ)しなく下界を見回している。
「聞け、彷徨いし魂デダよ!今や人間は地に落ちた!共に来るが良い!」
女がそう叫ぶと、目玉は焦点を女に合わせ、喜んでいるかのようにおぞましい声で叫んだ。
金属と金属が擦れあったような、脳ミソを掻き毟られるような、そんな叫びだった。
「行くぞ。首都グレストへ!」
女は透き通るように白い肌をしている。
しかし、その長い髪は血を被ったように真っ赤に染まってしまっていた。