グレスト王国物語
*伝説-エピローグに代えて
*****
ずぶりと音を立てて、漆黒の刃は光の女神グレスティアを貫いた。
「終わり、だな。」
にやりと、闇は笑った。
闇の永遠の勝利。
だが、
そうではなかった。
「な…」
光の女神に埋まった黒の刃、それが、刺さったところからみるみる白く変わり、変わり、変わり、
そうして伸びた白き刃は、向かい合った闇の女神グレスティアの胸に深々と埋まった。
ふたりの女神は、ひとつながりの刃で繋がれた。
「こ…これは、」
「人間は、「生」と言う未来を選んだ。そういう事でしょ?グレスティア。」
「どうやら…そのようだな。グレスティア。ならば、」
私は、赦(ゆる)そう…
つながったふたりから、光が溢れた。
光と闇の女神は、ひとりの女神になった。
その輝く美しい姿は、この世の人間の誰にも似ず、しかし同時に万人に似てもいた。
右手に刃、左手に竪琴を持った大女神グレスティアは、剣を天に向け大きく一振りすると、黒雲を払った。
そして、大空に舞い上がると骨竜デダと火の竜を同時に打ち破り、血だまりを清らかな水に変えた。
(人の子よ、忘れることなかれ。)
全ての生者の耳に、その声は届いた。
忘れることなかれ
春の恩寵を
大地の豊かさを
木々の尊さを
知の重さを
炎の強さを
忘れるな
闇と光はひとつである
我光と闇の守人
大女神グレスティアなり
人の子よ
忘れることなかれ
それは
赦すことである
全ての生者にこのように告げて、大女神グレスティアは粉々に砕け散った。
女神は、消えた。
だが、美しく光る彼女の欠片は、七色の雨となって万物に降り注ぎ、全ての物、全ての人間にグレスティアが宿った。
清らかな竪琴の音が響き、いつまでもいつまでも途切れることはなかった。
ずぶりと音を立てて、漆黒の刃は光の女神グレスティアを貫いた。
「終わり、だな。」
にやりと、闇は笑った。
闇の永遠の勝利。
だが、
そうではなかった。
「な…」
光の女神に埋まった黒の刃、それが、刺さったところからみるみる白く変わり、変わり、変わり、
そうして伸びた白き刃は、向かい合った闇の女神グレスティアの胸に深々と埋まった。
ふたりの女神は、ひとつながりの刃で繋がれた。
「こ…これは、」
「人間は、「生」と言う未来を選んだ。そういう事でしょ?グレスティア。」
「どうやら…そのようだな。グレスティア。ならば、」
私は、赦(ゆる)そう…
つながったふたりから、光が溢れた。
光と闇の女神は、ひとりの女神になった。
その輝く美しい姿は、この世の人間の誰にも似ず、しかし同時に万人に似てもいた。
右手に刃、左手に竪琴を持った大女神グレスティアは、剣を天に向け大きく一振りすると、黒雲を払った。
そして、大空に舞い上がると骨竜デダと火の竜を同時に打ち破り、血だまりを清らかな水に変えた。
(人の子よ、忘れることなかれ。)
全ての生者の耳に、その声は届いた。
忘れることなかれ
春の恩寵を
大地の豊かさを
木々の尊さを
知の重さを
炎の強さを
忘れるな
闇と光はひとつである
我光と闇の守人
大女神グレスティアなり
人の子よ
忘れることなかれ
それは
赦すことである
全ての生者にこのように告げて、大女神グレスティアは粉々に砕け散った。
女神は、消えた。
だが、美しく光る彼女の欠片は、七色の雨となって万物に降り注ぎ、全ての物、全ての人間にグレスティアが宿った。
清らかな竪琴の音が響き、いつまでもいつまでも途切れることはなかった。