グレスト王国物語
*シルヴァ*
「見せしめ…お前…処刑……やる」
─大変だ。
大変なことを聞いてしまった。
私は、ゆっくりと石造りの(所々ひび割れて、音が漏れて来る)壁から耳を離した。
日が落ち、漆黒に包まれた城内は氷点下十数度の極寒。
壁につけていた顔の半分が、寒さにただれてぴりぴりした。
(王子はあの人を殺す気…?)
バルベール、ジェシカ、アイシェ亡国王、毒殺、暗殺、処刑…
新たに手に入れた情報に、寒さで凍える頭は飽和状態だ。
…さて、どうしようか……。
冷えた腕をさする。
さすがに、この寒さの中立ち聞きはこたえた。
重い空気に、真っ暗な廊下。
石でできたこの城は、さながら牢獄のようだ。
(ブラッドに知らせようか……)
ポシェットに手を突っ込み、任務前に、ブラッドに駅で貸してもらった携帯電話をまさぐる。
なかなか見つからない。
(…いいや、)
とにかく、長居はできない。
さっきだって一度、城の中で松明を持った誰かに追いかけられてしまった。
足音を立てないように、私はゆっくりと長い廊下を戻り始めた。
確か、ずっと行った突き当たりに階段があったはずだ。
妙な焦燥感が背中を押している。急がないと。
「見せしめ…お前…処刑……やる」
─大変だ。
大変なことを聞いてしまった。
私は、ゆっくりと石造りの(所々ひび割れて、音が漏れて来る)壁から耳を離した。
日が落ち、漆黒に包まれた城内は氷点下十数度の極寒。
壁につけていた顔の半分が、寒さにただれてぴりぴりした。
(王子はあの人を殺す気…?)
バルベール、ジェシカ、アイシェ亡国王、毒殺、暗殺、処刑…
新たに手に入れた情報に、寒さで凍える頭は飽和状態だ。
…さて、どうしようか……。
冷えた腕をさする。
さすがに、この寒さの中立ち聞きはこたえた。
重い空気に、真っ暗な廊下。
石でできたこの城は、さながら牢獄のようだ。
(ブラッドに知らせようか……)
ポシェットに手を突っ込み、任務前に、ブラッドに駅で貸してもらった携帯電話をまさぐる。
なかなか見つからない。
(…いいや、)
とにかく、長居はできない。
さっきだって一度、城の中で松明を持った誰かに追いかけられてしまった。
足音を立てないように、私はゆっくりと長い廊下を戻り始めた。
確か、ずっと行った突き当たりに階段があったはずだ。
妙な焦燥感が背中を押している。急がないと。