グレスト王国物語
広場に広がる、動揺のざわめき
兵士は、我に帰ると、野獣の様な叫び声を上げて一気に分厚い剣を私目がけて振り下ろす
右に体を反らす、鈍く輝く刃は私の手を縛っていた縄と、手の甲の薄皮を切り裂いて、左足ぎりぎりの木の台座を打ち壊した
一気に、広場の空気が変わった
空気が、狂気の熱を孕んだ
煮えたぎる血を渇望して、沸き立つ熱狂
目を兵士に釘付けたまま、手に残った縄を噛み切る
歓声が上がった
ジェシカが、もう1人の兵士を蹴り倒し、処刑台から逃れようとしている
だが、よそ見はしていられない
剣を持ち直した兵士から、殺気が溢れ出す
じり…じり…
張り詰める緊張と殺気で、心臓がはち切れそうな程鳴っている
─来る!!
兵士が、動いた
ぎらぎらと血を欲する刃が、風を起こして空を裂く
右、左、右
ダンスを踊るように、敵と呼吸をひとつにする
しくじったら、死ぬ
ひと繋がりの攻撃の後には、必ず呼吸が入るはずだ
チャンスを伺う
右、左、右───止まった
地を蹴る
そのまま反動をつけて体を前方に繰り出す
ガシャン!!
耳障りな音に続いて、頭から全身に響く鈍痛
私の体は、兵士を下敷きにして処刑台に叩きつけた
(これで気絶してくれれば…)
弾んだ息もそのままに起き上がる
大の字になった兵士は、まだ動かない
やった…
大きく息を吐き、そう呟いた
群集から、大歓声が上がる
私が有頂天になりかけた
その時
素早く起き上がった兵士の拳が、私の腹にめり込んだ
兵士は、我に帰ると、野獣の様な叫び声を上げて一気に分厚い剣を私目がけて振り下ろす
右に体を反らす、鈍く輝く刃は私の手を縛っていた縄と、手の甲の薄皮を切り裂いて、左足ぎりぎりの木の台座を打ち壊した
一気に、広場の空気が変わった
空気が、狂気の熱を孕んだ
煮えたぎる血を渇望して、沸き立つ熱狂
目を兵士に釘付けたまま、手に残った縄を噛み切る
歓声が上がった
ジェシカが、もう1人の兵士を蹴り倒し、処刑台から逃れようとしている
だが、よそ見はしていられない
剣を持ち直した兵士から、殺気が溢れ出す
じり…じり…
張り詰める緊張と殺気で、心臓がはち切れそうな程鳴っている
─来る!!
兵士が、動いた
ぎらぎらと血を欲する刃が、風を起こして空を裂く
右、左、右
ダンスを踊るように、敵と呼吸をひとつにする
しくじったら、死ぬ
ひと繋がりの攻撃の後には、必ず呼吸が入るはずだ
チャンスを伺う
右、左、右───止まった
地を蹴る
そのまま反動をつけて体を前方に繰り出す
ガシャン!!
耳障りな音に続いて、頭から全身に響く鈍痛
私の体は、兵士を下敷きにして処刑台に叩きつけた
(これで気絶してくれれば…)
弾んだ息もそのままに起き上がる
大の字になった兵士は、まだ動かない
やった…
大きく息を吐き、そう呟いた
群集から、大歓声が上がる
私が有頂天になりかけた
その時
素早く起き上がった兵士の拳が、私の腹にめり込んだ