グレスト王国物語
─グレスト国家警察本部の一室。
かつ、かつ、かつ、
無機質な床にブラッドの足音だけが響く。
「…見つかったようだな。」
薄暗い部屋には、1人の男。
背が高く、きっちり固めた髪と、瞳は深いブラウン。
一見インテリな印象を受けるが、そつなく、無駄のない体躯はスポーツマンの様にも見える。
にやりと笑って見せるその表情はしかしどことなく陽気とは別のものも滲ませていた。
ブラッドは歩みを進めた。
「私の言った通り、やはりジェシカだったろう?」
「あぁ、」
「春の女神アイシエは、元気だったか?」
「…あぁ、」
軽く相づちを打つと、ブラッドは水晶でできた小さなピアス、を男に手渡した。
男は、嬉しそうに目を細める。
「やはりな…うん、お前は優秀な部下だよ。」
ソファに腰掛けたブラッドは、欠伸をした。
男は、小さく眉をひそめた。
「ったく、相変わらずだなぁブラッド。ま、さっそくだが、次、頼むぞ。」
男は、分厚い紙束をブラッドに渡す。数多の文字で埋められたそれは、
「次の任務だ。へまするなよ。」
ブラッドは、しばらく書類を眺めていた。
「…わかってるな。「女神の涙」を集めることは、お前のためでも、私のためでも…いや、グレストの民のためでもあるんだ。」
男を一瞥し、ブラッドは無言のままに立ち上がった。
かつ、かつ、かつ、
「…ブラッド、」
ブラッドはドアに手をかけた。
「ぁ?」
暗い部屋、他に動くものはない。
男が、背後で笑った気配がした。
「君のパートナーによろしく。」
ブラッドは、ため息をついた。
片手を上げて、ひらひらと降る。
「イェッサ…ブライト警視総監。」
かつ、かつ、かつ、
無機質な床にブラッドの足音だけが響く。
「…見つかったようだな。」
薄暗い部屋には、1人の男。
背が高く、きっちり固めた髪と、瞳は深いブラウン。
一見インテリな印象を受けるが、そつなく、無駄のない体躯はスポーツマンの様にも見える。
にやりと笑って見せるその表情はしかしどことなく陽気とは別のものも滲ませていた。
ブラッドは歩みを進めた。
「私の言った通り、やはりジェシカだったろう?」
「あぁ、」
「春の女神アイシエは、元気だったか?」
「…あぁ、」
軽く相づちを打つと、ブラッドは水晶でできた小さなピアス、を男に手渡した。
男は、嬉しそうに目を細める。
「やはりな…うん、お前は優秀な部下だよ。」
ソファに腰掛けたブラッドは、欠伸をした。
男は、小さく眉をひそめた。
「ったく、相変わらずだなぁブラッド。ま、さっそくだが、次、頼むぞ。」
男は、分厚い紙束をブラッドに渡す。数多の文字で埋められたそれは、
「次の任務だ。へまするなよ。」
ブラッドは、しばらく書類を眺めていた。
「…わかってるな。「女神の涙」を集めることは、お前のためでも、私のためでも…いや、グレストの民のためでもあるんだ。」
男を一瞥し、ブラッドは無言のままに立ち上がった。
かつ、かつ、かつ、
「…ブラッド、」
ブラッドはドアに手をかけた。
「ぁ?」
暗い部屋、他に動くものはない。
男が、背後で笑った気配がした。
「君のパートナーによろしく。」
ブラッドは、ため息をついた。
片手を上げて、ひらひらと降る。
「イェッサ…ブライト警視総監。」