グレスト王国物語
[ここだけは知っておきたい!ライラシティの歩き方]
表紙に大きくそう書かれたそれは、あちこちに目印の折り目が目立つ。
今回の任務先、ライラシティはグレスト王国のなかでも首都レベルの近代都市として有名で、勿論、ショッピングやレジャーには最適な街なのである。
あの折り目がついたスポット全てに連れて行かれるかもしれないという嫌な予感が、頭をよぎって行った。
しゃ、しゃ、しゃ、
高速で流れて行くリニアの窓から臨む景色は、いつの間にか田舎の風景から、すっかり都会のそれに変化していた。
外では、雨が降っているようだった。
どんよりと重たく空にのしかかる雲と、鉛色の雨粒。視界の端には上機嫌でページを捲るシルヴァの銀の髪が見える。
曇天の中で揺れる銀の髪。
なかなか絵になるはずの光景は、なぜだか彼を憂鬱にした。倦怠がじんわりと全身を支配して行く。
(…だから雨は嫌いなんだ)
ため息をひとつ。
結局、ブラッドは道中の残りの時間を、任務要項が書かれた書類に目を通して過ごすことに決めた。
表紙に大きくそう書かれたそれは、あちこちに目印の折り目が目立つ。
今回の任務先、ライラシティはグレスト王国のなかでも首都レベルの近代都市として有名で、勿論、ショッピングやレジャーには最適な街なのである。
あの折り目がついたスポット全てに連れて行かれるかもしれないという嫌な予感が、頭をよぎって行った。
しゃ、しゃ、しゃ、
高速で流れて行くリニアの窓から臨む景色は、いつの間にか田舎の風景から、すっかり都会のそれに変化していた。
外では、雨が降っているようだった。
どんよりと重たく空にのしかかる雲と、鉛色の雨粒。視界の端には上機嫌でページを捲るシルヴァの銀の髪が見える。
曇天の中で揺れる銀の髪。
なかなか絵になるはずの光景は、なぜだか彼を憂鬱にした。倦怠がじんわりと全身を支配して行く。
(…だから雨は嫌いなんだ)
ため息をひとつ。
結局、ブラッドは道中の残りの時間を、任務要項が書かれた書類に目を通して過ごすことに決めた。