グレスト王国物語
カ、チャン。

ドアが開かれた。
ブラッドの頭ひとつ分下に、リフィエラのうなだれた顔があった。

その唇は、きつく引き結ばれており、瞳には、すっかり覇気がなくなっている。

｢お分かりでしょう？何もかも、手遅れなんですよ。…女神は、いつしか人間にとってひとつの道具にすぎなくなってしまいました。
分かります。私はもうすぐ死ぬでしょう。

最早、私には女神たり得る何の力もなってしまったようです。

…お引き取りください。ブラッドさん。どうしてもとおっしゃるのなら、私が死んだ後、Hannaを連れて行ってください。

あのキリュウが許せば、の話ですが…。｣

リフィエラは静かにまくし立てると、立ちすくむブラッドを残して診察室の奥へと去って行ってしまった。

｢…何なんだよ。｣

残されたブラッドは１人、深々とため息を着くのだった。
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