グレスト王国物語
その時、リフィエラの背後から、人影が滲み出てきた。だが、リフィエラは全く気がついていない。

男は懐から何かを取り出すと、素早くそれを彼女の背に押しあてた。

「あああぁぁっ!!」

絶叫が響き、リフィエラは前のめりに崩れ落ちた。恐らく、スタンガンか何かだ。

彼女が意識を失ったためか、いつしか周りにいた女達は皆倒れ、私の身体も自由を取り戻していた。

「予定より時間がなくなってしまいました。一緒に来てもらいますよ、リフィエラ。」

冷たい男の声が響く。

軽々と女神の身体を担ぎあげると、彼は、ステージの奥にいつの間にか空いた空洞の闇の中に吸い込まれて行った。
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