黒髪のあの子
ピンポーン
ガチャッ
「…おす」
ちょっと低い声で、俺に笑いかける。
「おす。行こうぜ」
「そうだな。つか今日はどうしたんだよ?千尋から学校行くとか言うなんて…めずらしいじゃん?」
「あー、なんか弁当作ってくれるっていう奴がいるから無駄にできねぇだろ?」
そういったら、俺の梓は俺の顔をまじまじと見やがった。
「…なぁんだよ?」
「いや…お前も、女に気を使う年頃になったんだなぁと…」
「そんなんじゃねぇよ…」
そう、多分食べ物に目がくらんだだけ。
……きっとそうだ。
「んで?誰なんよ」
ちょっと横目で、俺を見ながら梓が喋る。