図書室

夏休みに入って何日かたった頃。私は委員会の仕事で図書室に来ていた。

「蔵書点検」という本を整理する期間だ。

私は棚に入った本を全て出して、埃を落とし、整理していった。

まだ先輩の姿は見ていない。

終業式のときは、最後に見るチャンスだと沙希ちゃんと一緒に先輩の姿を探したが、結局見つけることはできなかった。

「本当にどうしたんだろ…」

整理をしながら扉を見つめる。

来てくれるんじゃないか、と期待している自分がいる。

たぶん、木下先輩は来ないだろう。

そう思わないとやっていけなかった。

私は改めて、木下先輩に惚れているんだな、と自覚した。

その日は何もなく過ぎていった。

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