ゆん坊
「ぼうず、名前何て言うの」
真っ暗な道を、僕と手をつなぎ歩いているおじさんが言った
「…ゆうきです」
「家の人…心配しているだろうな…。この道で間違いないだろうね?」
「…はい。あそこのアパートです」
すでに周りは見覚えのある景色になっていた
「どの部屋だ? ちゃんと親に会って、お前を渡さないとな」
おじさんとアパートの部屋の前まで来た
「ここか? 部屋の中…真っ暗じゃないか!誰もいないのか…」
おじさんは驚いた声で僕に言った
「…はい。1人です」
「…父さんと母さんは仕事なのか? 兄弟はいないのか? 親戚の家は近くにあるのか?」
慌てておじさんがたくさん聞いてきた
「お母さんは仕事です…夜は僕1人です」