ゆん坊
「おやすみ! ぼうず」



おじさんは笑顔で僕に言った



「おやすみなさい」



久しぶりに“おやすみなさい”を言った…



おじさんに頭を下げて玄関のドアを閉めた



そして鍵をかけた



外の灯りを頼りに照明のスイッチを入れた



豆電球がついた



小さなオレンジ色の光が部屋の中を微かに照らした



“怖いな…”



テーブルの上のパンを取った



大きなクリームパンだった



薄暗いオレンジ色の光の下でパンを食べた



“暑いな…冷たいものが飲みたいな…”



家には冷蔵庫は無かった



“優しいおじさんだったな……家近くなのかな…”



ひたすら大きなクリームパンを食べ続けた


< 14 / 43 >

この作品をシェア

pagetop