ゆん坊
僕がしばらく床を拭いていると


「ゆうき、ありがとう。だいたいこんなところね。床も綺麗になったし、体を拭いてあげるわ」


お母さんはジャムパンの袋を丸めながら床から立ち上がって僕に言った


そのまま台所へ行き、バケツにお湯を入れて僕のそばに来てくれた


「裸になりなさい」


お母さんはタオルを絞りながら言った


僕は慌てて服を脱いだ


お母さんは僕の首を温かいタオルで拭きながら


「たくましくなったね、ゆうき…。お母さん安心だわ」


お母さんの顔を見ると目が濡れていた



「泣いているの…お母さん…」


僕が聞くとお母さんは



「うん。泣いてる。なんでだろ…嬉しくてかな」

お母さんは目を真っ赤にして笑顔で僕に言った



この町に引っ越してきた最初の夜のことだった



今は夏休み…



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