有名男子・秘密彼氏
「キャッ!」



私はぶつかった衝撃で、おもいきり後ろにしりもちをついた。



「痛…」



私はお尻を痛がりながらも、目の前にいたぶつかった相手を見た。



綺麗な黒髪。大きくて、パッチリした二重の瞳。少し高めの鼻。スタイルのいい身体。


かっこいい…



私は思わず急いでいるのも忘れて目の前の男に見惚れていた。


時が止まったように感じた。



「…痛ぇ…」



でもぶつかった男がそう言って、私ははっとした。


わ、私謝らなきゃ!



「す、すみません!」


「……」



不機嫌そうに眉間にしわを寄せている。


あれ?
なんか睨まれてる…?


私謝ったのに。何で?



「どけ。」



…は!?


今どけって言った!?


私も謝ったんだから、あんたも謝りなさいよ!

事故なんだから!

お互い悪いんだから!



なのに…なんで睨まれながらどけって…!



怒りがわいてきた。


でもそんな私に気付きもしないで、まだ私を睨みながら私の横をすっと通っていった。


なんなの…あいつ!



「ちょっとあんた!」
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