【バーチャルメーカー★博士と助手のとんだ1日】
『博士!でも何とかしないと!
さっき、人の悲鳴も
聴きました。
このままじゃ僕は…。』
一瞬うつ向いたサミュエルが
真剣な表情になり、
『博士!僕が奴等の囮
(おとり)になります!
その隙に博士は装置のCDを
取り替えて下さい。』
『大丈夫か?サム。
いくら仮想現実と言えど、
奴等に噛まれたり、
引っ掻かれたりすれば君も
ゾンビとなってしまうのだぞ!
君は走るのは得意な方
なのかね?』
『まあ、そこそこは…。
大丈夫ですよ!きっと…。
奴等のあの動きを見て下さいよ
あれなら何とかなりますって!
任せて下さい!』
『そうか?じゃあ…
頼んだぞ!それから
気を付けるんだぞ!』
『わかりました。
任せて下さい!
行って来ます!』
サミュエルは棍棒を
握り締めると、フェンスの
所まで行き、扉を開けると
震える声でゾンビに向かって
叫んだ。
『ぉい!こっちだ!
ノロマ野郎!
そんな所で固まって!
特にそこのお前!
お前は虫カゴか!
口の中で虫なんか飼って!
悔しかったら此処まで
来てみろ!』
サミュエルの声に反応して
ゾンビ達が小首をかしげている
どうやら注意は惹き付け
られた様だ。
更にサミュエルは挑発を
続けた。
『こっちだ!さあ来い!』
言ってみたものの、
そのあとサミュエルは
一瞬にして青くなった。