【バーチャルメーカー★博士と助手のとんだ1日】
これまで助手としていつも
傍らで手伝ってくれていた
サミュエルを博士は心から
信頼していた。
だから装置が完成した時も、
真っ先に見せてやりたかった
のだ。
ゴードン博士は彼を自分の
研究を継いで貰う後継者候補
として既に決めていた。
今は若く、生真面目だけが
取り柄の様な彼だが、
将来はきっと平和の為に
貢献してくれるに違いない。
そう思っていた。
この研究は邪悪な心の
持ち主が取り組めば、
即座に負の結果をもたらす。
それこそ地球の滅亡に
繋がり兼ねない。
今回、サミュエルは、好奇心からとんでもない
事態を引き起こしてしまったが
身を持って理解出来た筈だ。
彼の空を眺めているその
横顔に見て取れる。
博士はサミュエルから
目線を逸らすと、雲間から
大地に向けて注がれる
柔らかな光の帯を眺めていた。