angel or devil
あたしは玄関に走った
「ねぇ!どこに行ってたの!?」
「……………」
「何かあったの!?ねぇ直輝!!」
「……………」
あたしの問いかけに答える事もなく、玄関で立ち竦む直輝――
お願い……何か話して……
被害妄想すんなよって
何勝手に誤解してるんだよって
早く抱きしめて安心させてよ………
うつむいた直輝の視線と、あたしの真っ直ぐな視線は重ならない――
言い訳してよ……
信じるから……
今なら……
今ならきっと……
あなたの言葉を信じる事ができるから………
「ねぇ!!香織さんって誰なの!!ねぇ!!教えて!?」
あたしは思わず直輝の胸を掴んで強く揺さぶった。
「……………」