angel or devil
リビングでテレビを見ているお父さんとママを、やましい気持ちから真っ直ぐ見れず、携帯の待受画面を見つめながら
「明日咲希んち泊まり行っていい?」
ドクドクと脈打つ鼓動を抑えて言った。
「あぁ咲希ちゃんか。いいよ。何か手土産持って行きなさい。」
咲希の家には何度か泊まりに行っている。
咲希のご両親にも既に電話で挨拶済み。
だから咲希の家に泊まりに行くと言うあたしを止める理由はない。
ホッとしてため息をつき、待受画面から二人の方に視線をやると、
ニヤ~っと口角を上げる、ママの視線と重なった。
「じゃ、じゃあ、おやすみなさい!」
階段を駆け上がるあたしの足音と、それに続く足音――――
あたしは部屋に入ってため息をついた。
「ママぁ~………」
「男でしょう?」
見透かすような目であたしを見つめながら、ママは後ろ手で部屋の扉を閉めた。
ママには嘘つけないや……