angel or devil
息をするのも忘れる程に、あたしの瞳はひたすら彼を見つめていた。
こんなに美しい男は初めて見た。
イケメン
かっこいい
綺麗
可愛い
人の容姿を誉める言葉
だけどそんな言葉すら当てはめてはいけないと思う程に美しい顔。
神様…?
いや神様っておじいちゃん?
天使…?
いや天使って子供か女?
だけどあたしが目を奪われたのはきっと、顔や容姿だけではない。
言葉では言い表せない
"何か"を一瞬で感じた。
「直どうしたの~?早く座りなよ~」
麻奈の声で我に返り、あたしは視線を外した。
「あぁ…」
小さな声で返事をし、あたしの横に腰をかける夜咲直に、あたしはもう一度視線を向けた。
美しい顔とは裏腹に、細いけどがっしりとした体がスーツを着ていてもよくわかる。
そこから漂う、爽やかな甘い香りがあたしを更に深く、空想のような世界に引き込んだ。