angel or devil
「結華をよろしく頼むよ。」
えっ!?
あまりにも期待していなかった言葉に、あたしが驚いて顔をあげると―――
お父さんの深い皺が刻まれた下まぶたが、涙が零れ落ちるのを必死で抑えているのが見えた。
それを見て、あたしの瞳からは大粒の涙が零れた。
お父さん……
お父さん……!!
ありがとう……
「ありがとうございます!!」
「きゃ~パパも慎くんもかっこい~!ママ感動しちゃった~♪」
張りつめたリビングの空気が、ママの言葉で一気に和む
「どうしたの~?」
みんなの笑い声に気付いたのか、廊下からヒロが顔を出した。
「ゆいちゃんのお腹に赤ちゃんいるんだよ♪だからヒロ優しくしてあげてね♪」
ママ……
あたし、本当に本当に幸せだよ……
本当に本当に……
ありがとう……!!
もっともっと幸せになって、お父さんとママみたいに幸せな家庭を築くよ。
それからお父さんの慎は、二人で酒を酌み交わし、男同士だと言って仲間にいれてくれなくて
「ママも飲みたいな~」
ダイニングテーブルで少し不満な顔を浮かべたママと、あたしとヒロはママが入れてくれたミルクティーで乾杯をした。