angel or devil
控え室の前に溢れる人々
「新婦様!?ダメです!!」
あたしに気付いた一人のホテルマンがあたしの肩を掴む――
「やめて!!放して!!」
ホテルマンの力は強く、あたしは身動きがとれない
そんなあたしの瞳には、部屋の前で座り込む二人が映った
慎の両親――
お母さんの瞳からは止めどなく涙が溢れ
力無く床に崩れ落ちたお母さんを、お父さんは涙を抑え抱きしめていた――
「お父さん、お母さん…?」
声に気付き、二人は目を丸くしてあたしを見つめた――
振り返ったホテルマンの手が、少しだけゆるんだ瞬間――
あたしは振り切った――