angel or devil
「結華ちゃん―――ッ!!」
あたしを呼ぶ慎のお父さんの声
部屋にあたしを入れるまいと一斉に飛びかかる従業員
たった一瞬の出来事が
壊れた時計の針のように、ゆっくりと流れていくのが見えた。
部屋に足を踏み入れたあたしの瞳には、大きな窓が真っ先に飛び込んだ。
あたしの部屋にあったのと同じ大きな窓
さっき部屋で見たのと変わらない澄みきった空
そこからあたしは
視界の片隅に映った異様な光景に視線をうつした――
「ーーーーーー!!!!」
息を思いきり吸い込むような、声にならない声――
《結華ちゃァァァァァん!!!!!!》
高い所に行った時のように塞がったあたしの耳には、遠くの方で微かに声が聞こえた。
どうして…………
どうして…………
何が起こったのか……
どうしてこんな事になっているのか…………
教えてよ……
誰か教えてよ………!!
答えてよ………
答えてよ慎…………ッ!!