angel or devil
夢中で慎の後を追ってきたあたしは、自分の置かれた状況をわかっていなかった。
ホテルの前はたくさんの人々で溢れかえっていた。
「結華!!!」
お父さん……
ママ………ヒロ………
みんな……
この場にいる誰もがあたしを見ていた。
無数にあたしに向けられた視線に思わず目をつむると
あの異様な光景が、まぶたの裏に鮮明に映し出された―――
その瞬間―――
慣れない高いヒールが、何かに歩行を邪魔されたのがわかった。