angel or devil
「結華、ヒロ、話があるんだ。」
夕食の片付けをしていたあたしは、持っていた汚れた食器をテーブルの上に戻した。
「何?」
いつになく真剣な目をしたお父さんを見て、お父さんの待つリビングのソファーに腰をかけた。
「お父さんの会社あるだろ?」
お父さんが経営する小さな会社
「倒産したんだ。」
「……!?」
「でも大丈夫。お前達は何も心配する事ない。」
「うん。」
「ただ、しばらく不自由な思いをさせるかも知れないが、我慢してくれるか?」
「そんなの!全然平気だよ!」
「うん!我慢するよ!」
「お前たち…ごめんな。父さん頑張るからな。結華、ヒロ、愛してるよ。」
お父さん……
それはまだ、あの日の記憶があたしの胸を痛めていた時の事だった。