angel or devil
prologue
俺に"親"なんてやつはいない
父親は俺が10才の時、麻薬の現行犯で逮捕され、1年後に獄中で自殺した。
当時の俺にはそれがなんだかはわからなかったが、俺の前でも頻繁に薬を使っていて、薬が切れると俺や母親を虐待した。
それから母親はおかしくなり、父親が自殺する少し前に出て行った。
母親も元々、飯も作らねぇ家事もしねぇで、毎日香水をプンプン匂わせて出かけて行き、酒を香水代わりに臭わせて帰ってくる。
そんな母親だった。
両親がいなくなった後、俺は父方の婆ちゃんに引き取られた。
それまで婆ちゃんとは、数える程しか会った事はなかったが、俺にとても良くしてくれた。
決して裕福な生活ではなかったが、婆ちゃんがいた事で救われた。
そして、中学を卒業すると俺は仕事を始めた。
婆ちゃんに少しでも楽になってもらえるように、必死で働いた。
だけど、俺が17才になった頃、婆ちゃんは他界した。