angel or devil
「俺今ついてたんすけど~めっちゃ可愛いっすよ~!!詩織さんなんてもんじゃないっす!
あんな可愛い子見た事ないっすよ~」
「マジで?」
興味深々に席に視線をやるが、柱で丁度隠れて女は見えない。
詩織は俺の客で、有名高級クラブのNo.1。
俺の指名客の中でも断トツの、かなりのいい女だ。
普通に街を歩いていて出会えるような女じゃない。
それ以上って……
「可愛くて太けりゃ最高じゃーん」
かなりの金を落とす客を俺たちは"太い"と言う。
可愛くて金持ってる女は最高だ。
俺は一也の頭をポンっと叩き、そのテーブルに向かった。
「ご指名ありがとうございます。夜咲直です」
俺はテーブルの前で膝をついて深々と頭を下げる。
頭を下げるのなんて嫌いだが、それが新規指名へのこの店のルール。
そして2秒数えて頭を上げた。
「…………!!…………………………………」