angel or devil

―――




それから一週間程経ったが、綾香が俺の前に現れる事はなかった。



そして俺も、もう忘れてしまった。



綾香が来た事すら忘れて



毎日のように色んな女を抱いた。









昼飯を食おうと、現場の片隅のコンクリートブロックに腰をかけたと同時に


「俺パパになっちゃったよ!」


誠さんはそわそわした様子で俺の前に立ち、指で鼻をこすりながら言った。



「おぉ~!!もう産まれたんすか!?」



「おう!なんか実感なかったけどよぉ、小さい手で俺の指掴んでさ~!」



誠さんは照れ隠しか、そう言いながら俺の隣に腰をかけ、煙草に火をつけた



「へぇ~!!俺も見たいっす!!」



「まだしばらく病院だから、帰ってきたら見に来いよ!」



「はい!」




「あ~!もう、可愛くて可愛くて仕方がないよ!」




「うわ~!既にデレデレっすね~!
おめでとうございます!」




「子供っていいぞぉ~!!お前もいつかな!!」



「俺はまだまだっすよ~」





誠さんのこんなに嬉しそうな顔初めて見たな。





子供かぁ………





そう言えば綾香、ちゃんとおろしたのかな。



金取りに来ねぇなぁ……



やっぱ俺の子じゃなかったか?



無駄な出費抑えられてよかったわ






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