angel or devil
「あ~!早く仕事おわんねぇかな~!!」
「もう幸せなのは十分わかりましたから!!」
誠さんは開けた弁当を食うのも忘れ、既に親馬鹿を発揮しそうな勢いで子供の話をし、まだまだ遠い将来の話を嬉しそうに話していた。
昼休憩が終わり、持ち場に戻ろうと誠さんの後ろから歩いていると
「直!!!!」
聞き覚えのあるその声に振り向くと、現場の中にいるはずのない綾香の姿があった。
「どうしたんだよ?どうやって入った?」
「ねぇ……あかちゃん……」
「ん?」
俺の問いかけに答える様子もなく、綾香は震える声を俺まで届くように振り絞って出して
「産んで……も…いい……?」
と続けた
「はぁ?産むのは勝手だけどさぁ、俺責任とれねぇよ?」
ってかまだ堕ろしてなかったのかよ
マジでだりぃやつ
「…………」
俺達の様子に気付いたのか、持ち場に戻ろうとしていた誠さんは足を止め
「おい!矢崎!何だよ!?」
「あ~こいつにガキできたみたいで、産むとかわけわかんねぇ事言ってんすよ~!」
「矢崎………お前!!なんて事!!」