angel or devil
葛藤~鍵~
俺は相変わらず、香織さんのアパートとedenを行き来しながら毎日病院へ行った。
ただ、あまりにも無理な営業だけはしなくった。
『eden』
「詩織さん帰るって。」
グラスに注がれたシャンパンを飲み干そうとした時、前田さんが耳打ちをした。
「あれっ?どこっすか?」
詩織のいたテーブルに目をやるが、詩織の姿はない
「下で待ってるって。」
俺はグラスを置き、指名客に
「すぐ戻ってくるから待ってて」
と言うと、すぐさま詩織の元へ向かった
エレベーターを降りると、ビルの前で携帯を眺める詩織の姿が見え
「詩織~もう帰んのかよ~」
小走りで詩織の元へ行くと、詩織は携帯をポケットにしまい
「今日は疲れてるの~!明日も来るから~♪」
俺の髪を撫で、微笑んだ
キスでもしてやろうかと詩織の頬に手を伸ばそうとしたとき
前からたまに来る、金持ちのおばちゃんの姿が視界に入った
「あれ~!?葉月さんじゃないすか~!!」
突然現れては桁外れな金額を落とし、俺の番号も聞かずに帰って行く。
"ただ楽しく飲めればいい"と思っているような人で、俺達からしてみればかなり助かる客。
そしてかなりの上客だ。
葉月さんは一瞬詩織に視線を向け
「夜咲くん、相変わらず人気者ねぇ」
と言って少し微笑んで見せた。
「じゃあ明日な!」
「は~い♪ばいば~い!」
詩織を見送った俺は早速葉月さんに手を差し出し
「すいませんっ。じゃあ行きますか!」
と言ったものの
「それがね~連れの子がね~」
葉月さんは眉をひそめた