angel or devil
結華と葉月さんを店まで連れて行くと、俺はさっきまでいた席へと戻り
「亜樹ちゃんごめんねー。ごちそうさまー!!」
残り少ないシャンパンボトルを開けると、すぐさま葉月さんのテーブルへと向かった。
席に向かうまでの少しの間で呼吸を整え
「あれ〜?俺こっちすか?」
葉月さんの隣に座ろうとしたものの、既に一也が座っていた
「この子も可愛いじゃない♪今日はこの子がいいわ♪」
「なんすかそれ〜!!」
そう言いながら、俺は動揺を抑え、結華の隣に腰を下ろし
落ち着け
心の中で呪文のように唱えながら、俺は大きく息を吸った
「久しぶりだな!」
「うん」
「元気?」
「………」
「まだ働いてんだ!」
「うん…」
「彼氏できた?」
「………!?」
「いんだろ?彼氏くらい」
「………わけ……」
「ん?聞こえないんだけど?」
「いるわけないじゃない!!」
ごめん……
「怒んなよ〜!意外にモテないんだな!ハハっ」
こんな風に突き放すことしか
今の俺にはできない
でなきゃ……
君にこの胸の鼓動を聞かれてしまうから……
この胸にある想いを
君に伝えてしまうから……
「お願いします。」
君はどんな瞳をしていた?
どんな想いで俺を見ていた?
結華の気持ちに気付いてやることなど
自分の気持ちを抑えるのに必死で
気付いてやれなかった