angel or devil
「直さ~休みの日とかいつも何してるの~?」
「寝てるよ。」
「そっかぁ~ホストって大変そうだもんね~」
結華と葉月さんの席から離れ、他の指名客と話ながらも、俺はずっと上の空だった。
"伝えたくても伝えてはいけない想いがある"
そんなどこかで聞いた台詞が頭に浮かんだ
「葉月さんお帰りです。」
「今行きます。」
ずっとそばにいたい
もう一度会いたい
もう二度と会いませんように
もう二度と……
「お待たせしましたー!下まで送ります!」
「ありがとう。楽しかったわ。」
もう二度と会うこともないのかな
「じゃあね。頑張りなさい。」
「はい」
俺は結華と葉月さんが車に乗り込んで行くのを、ただぼんやりと眺めていた
結華………
結華………
行かないで……
ずっとそばに………
押さえ込もうとしても、今にも溢れ出してしまいそうな想い
でも伝えてはいけない
どうせ結華のそばにいることなど出来ないんだから……